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はじめに
こんにちは!市川です!
今日のテーマは「ファーストエイド公開(後編)」です。
前回は主に“隔離の重要性”と“外傷処置のための道具”を紹介しました。
参考になりましたでしょうか?
まだ見てないよ、という方はまずは前編記事からお読み下さい。

さて、今回は僕の本領である内科医としての“体調不良”にフォーカスをおいた内容です。
- 体調変化を”可視化”するデジタルデバイス
- 酸素化と脈拍数を見える化するパルスオキシメーター”コニカミノルタPULSOX-Neo“
- 心拍数・不整脈を管理する”Garmin Fenix8“
- 心臓を見える化する極小携帯心電計”オムロンHCG-8060T“
- 山岳医が厳選した”山で使える市販薬”
- 今回は誰もが入手可能な市販薬で厳選
前編と違って、ある意味では「山岳医らしい」マニアックな装備もありますね。
でも、実は多くの方が関係するし、医師でなければ扱えないというわけでもありません。
薬剤に関しては、僕自身は実際には処方薬も持っていますが、今回は誰でも購入可能な市販薬を紹介しています。
それでは、後編スタートです!
体調変化を”可視化”するデジタルデバイス
「なんとなく調子が悪い」という主観も実は侮れないのですが、客観的な数値は”正確な判断”をするための指針になります。
というわけで、今回は山でも使える軽量なデジタルデバイスを紹介します。
身体の酸素化と脈拍数を見える化する”パルスオキシメーター”

指に挟んでSpO2(酸素飽和度)と脈拍数を測る機械です。
コロナで一役有名になったので、皆さんご存じだと思います。
パルスオキシメーターのいいところは、
- 軽量であること
- 酸素飽和度と脈拍数が簡便に計測できること
- 指につけっぱなしにしておけば、持続的に計測できること
が挙げられます。
この3つ目の「持続的に」と言うのが実は大切です。
特に脈拍や酸素飽和度という数値はバイタルサイン=生命兆候といい、病状によっては刻一刻と変化します。
僕が使っているのは医療現場でも信頼性の高いコニカミノルタ製のPULSOX-Neo。
- 視認性が高く、屋外でも画面表示が見やすい
- 寒冷地でも比較的信頼性が高く、PI値により末梢血流の状態も反映してくれる
といったメリットがあります。

パルスオキシメーターは値段がピンキリですが、せっかく購入するならある程度の価格のものをオススメします。
安価な製品だと数字の正確性に不安があったり、屋外では文字が見にくいなど使い勝手が悪いです。
※とはいえ冬季の屋外ではPULSOX-Neoでも計測できませんので、使い方に工夫は必要です。
心拍数・不整脈を管理するGamin fenix8


僕は現在、Garmin fenix 8をメインで使いつつ、Apple Watch Ultraを状況に合わせて使い分けています。
※この2つの使い分けについては、こちら👇の記事をご参照下さい。


ちなみに僕はまだApple watch Ultra3を持っていません。
Ultra3は“高血圧検出機能”がついているので、とても気になっています・・・。
- 長期登山でも対応可能な長時間バッテリーと堅牢性
- GPS地図:ヤマレコ・YAMAPにも対応
- 登山中の持続的な心拍数管理が可能
- 冬季でも信頼性が高い唯一のスマートウォッチ⁉
- 他機種だと冬季は末梢血流が悪くなるため正確な心拍数を測れない
- 簡易心電図を計測可能:登山中の不整脈診断に有効
僕自身、いろんなスマートウォッチを使ってきましたが、今、一番信頼しているのは、Gamin fenix8です。
- 脈不整の自動検出機能がない
- UI面ではApple watchに劣る
この2点だけがApple watchに劣りますが、それ以外は登山用スマートウォッチとしては最強だと思っています。
多くの登山者にとってGamin fenix8で不満に感じることはないのではないでしょうか。
Apple watchは本気じゃない登山の時や日常生活においては便利だなぁと思っています😊
また、心臓病をお持ちの方はやはりApple watchに一日の長があると思います。
オムロン携帯型心電計:なぜ山に「心電計」を持っていくのか


写真右側のデバイスは、オムロンの携帯型心電計(HCG-8060T)です。
これは僕が知る限り、“最小かつ最強の携帯型心電計“です。
これさえあれば、スマホがあっという間に最強の心電図に早変わりします。
端的にいえば、僕のように心電図が読める循環器内科医がコレさえ持っていれば、不整脈でも心筋梗塞でもその場で診断可能です👍
聴診器も聞こえないような強風下であっても、この心電計があれば、正確に判断し、次の行動を決定することができます。
ちなみに・・・
携帯型心電計とは、ざっくり言えば「簡易心電図」です。
Apple WatchやGaminについている心電図機能も正確には携帯型心電計と同じ機能になります。
携帯型心電計と本当の心電図には、下図のような違いがあります。
- 病院で実施する心電図=12個の波(誘導)がある
- 携帯型心電計=1個の波(誘導)しかない


「同じような波が並んでで意味あるの?」と思うかもしれませんが、僕ら循環器内科医がみえればその情報量の差は歴然で、12倍以上の価値があります。


一方で、数年前に発売されたオムロンのHCG-8060T(携帯型心電計)はなんと同時に6誘導の記録が可能です。
通常の心電図の半分、一般的な携帯型心電計の6倍の情報量です。
医師以外には「なんのこっちゃ」でしょうが、僕ら循環器内科医からすれば革新的に心臓病の診断性能が上がり、野外であっても、病院の心電図とかなり近い精度で診断ができるようになります😊
僕は初めてHCG-8060Tを見たときに感動で震えました😆
- 携帯型心電計なのに6誘導が一気に計測できる(通常の携帯型心電計の6倍の情報量!)
- ノイズリダクションが秀逸でほとんどノイズが入らない
- わずか24g!
- リチウム電池で長寿命
- 2-3年前に購入して、一度も電池交換してませんが、電池残量はたっぷり残ってます。
軽さと得られる情報量の多さが本当にすごいです。
登山に持って行っても全く存在感がありません。
山岳遭難死亡の第3位は心臓突然死であり、登山中の心筋梗塞はめずらしくありません。
心電図が読める医師であれば、是非登山に持ち歩いていただきたいですね。


登山中の突然死の主因「急性心筋梗塞」とは? 十勝毎日新聞 ■年7月●日 午後2:55頃、トムラウシ山(2141m)の登山道上で男性が倒れていると、登山者から消防に救助要請があった。男性は同日午後7:39 搬送先の病院で死...



僕は山岳医として、胸部不快感を訴える登山者に即座に対応できるように持ち歩いていますが、一般登山者はGarmin fenix8の心電図機能で十分です。
でも、不整脈持ちの方は持っていて絶対に損はありません。
是非この正確な心電計で不整脈を記録して、主治医に診てもらって下さい😊
山岳医が厳選 ”山で使える市販薬”


実際には僕は市販薬ではなく、処方薬をメインにファーストエイドキットには入っています。
しかし、それでは医師以外はマネしづらいので、今回は薬局でも買えるOTC医薬品で構成します!
【解熱鎮痛剤】ロキソニンS、タイレノールA


登山中に使用する解熱鎮痛剤としては、
をおすすめします。
これらの特徴・使い分けは以下の通り。
| 特徴 | ロキソニンS (NSAIDs) | タイレノールA (アセトアミノフェン) |
| 主成分 | ロキソプロフェンナトリウム | アセトアミノフェン |
| 最大の強み | 「炎症」を抑える力が強い | 胃・腎臓への負担が少ない |
| 山での得意分野 | 怪我、膝痛、ひどい筋肉痛 | 発熱、頭痛、空腹時の痛み |
| 山でのリスク | 脱水時の腎障害、胃荒れ アスピリン喘息のリスク | 抗炎症作用がない(腫れは引かない) |
| ポイント | ・「怪我の痛み」に最も有効 ・胃の弱い人はガスター10とセットで飲むと安心 | ・副作用が少なく安心 ・鎮痛効果はやや弱い |
- “患部の炎症そのものを抑える”ので、腫れ(炎症)を引かせる事ができる
- 腫れて靴が履けないを防ぐ
- 腫れによる血流不全を和らげる
=“怪我の痛み”に使うのが最も有効
- 「脱水+NSAIDs」による急性腎障害のリスク
- ロキソニンを飲むときは水分もしっかり摂ることが大切。
- 胃粘膜障害(ストレス性潰瘍)
- 胃を痛めるリスクがあるので、“食後”もしくは“多めの水”と一緒に飲みましょう。
- 高山病兆候をマスクしてしまう
- 高山病の主症状である”頭痛”にもロキソニンSは有効。
- しかし、高山病そのものを治しているわけではない。
- 高山病を疑ったら“順応するまで標高を上げない”が原則
- アスピリン喘息の誘発
- 喘息持ちの約10%はNSAIDsによって喘息発作が誘発されます。
✓大人になってからの喘息
✓蓄膿症(慢性副鼻腔炎)がある
✓鼻ポリープがある
こういう方は山でロキソニンを飲むのは控えましょう。
- 喘息持ちの約10%はNSAIDsによって喘息発作が誘発されます。
- どんな状況でも使いやすい安全性
- 脳の痛み中枢に作用して、痛みを感じにくくする薬剤。
✓胃に優しい
✓腎臓に優しい
✓アスピリン喘息でもOK
✓インフルエンザでも安心
など、“安全性が高い”のが特徴。
- 脳の痛み中枢に作用して、痛みを感じにくくする薬剤。
- 解熱作用もあるので、原因不明の発熱に使いやすい。
- 脳が痛みを感じにくくするだけ
- 痛みを感じにくくはなるが、効果は弱い
- 抗炎症作用はほぼない=怪我の痛みには不向き
- 炎症は起こるので、怪我の腫れを引かせる効果はない
- “登山中の腫れ”は靴が履けないなど、行動不能に繋がりかねない。
- 高山病をマスクしてしまう
- これはロキソニンと同様です。頭痛は抑えますが、高山病が治るわけではないので注意。
山岳医の結論



「基本は2刀流。ロキソニンをメインに、タイレノールをサブに」
がオススメです。
メイン:ロキソニンS
- 捻挫、骨折、膝痛など「怪我」をした時のために必ず持つ。
- 飲むときは必ず水と携帯食を摂る。
- アスピリン喘息の方は禁忌!
サブ:タイレノールA
- 「なんとなく頭が痛い」「熱っぽい」ときでも安心して使える
- 喘息持ち、胃が弱い、腎臓が悪い方はこちらをメインに。
※ロキソニンSプラスとかロキソニンSプレミアムとかありますが、ほとんど効果は変わらないので、一番安いシンプルな「ロキソニンS」でOKです。
【胃腸薬】ガスター10速溶錠
山では疲労や緊張(交感神経優位)により、胃酸過多や胃粘膜の血流低下が起きやすいです。
「もともと胃腸が弱い・・・」という方は、胃酸の分泌そのものを抑えるH2ブロッカーであるガスター10がオススメです。
「ロキソニンSをよく使う」という方も胃粘膜を保護するために併用した方がよいかもしれません。



山では、水なしでも飲めるOD錠タイプがオススメです。
【下痢止め】ストッパ下痢止めEX、トメダインコーワフィルム
「感染性胃腸炎(食中毒など)の疑いがある場合は、下痢止めをむやみに飲んで菌を留めてはいけない」
という大原則は覚えておきましょう。
しかし、それを理解した上であえて言いましょう。



山での下痢トラブルは死活問題ですよね😅
社会人として生きていくためにはやむにやまれぬ事情もあります。
どうしても・・・と言うときには、一時的にでも下痢は止めたいです。
「悪いものは出し切る」のが医学の基本ですが、山では「脱水」と「行動不能」を防ぐために、一時的に下痢を止めて下山する判断も必要です。
下痢の時にはたくさん水を飲むと下痢します😅
しかも、山では水自体が貴重なので、口の中で溶けるOD錠(口腔内崩壊錠)が山では望ましいです。
ストッパ下痢止めEX


ロートエキス(腸の異常収縮抑制)とタンニン酸ベルベリン(殺菌・収れん)の合剤。
「冷え」や「ストレス(緊張)」による下痢に効きやすいため、山での腹痛と相性が良いです。
口腔内崩壊錠(OD錠): 水が貴重な山や、ザックから水筒を出しづらい岩場でも、口に入れるだけで溶けます。
これが山では最強のメリットになるので、できればOD錠タイプがオススメです。
トメダインコーワフィルム


ロペラミドという最強の下痢止めです。
腸管の運動を直接抑えるため、いざというときには頼りになります。
一方で、強力であるがゆえに
「発熱や血便を伴う場合(感染性胃腸炎の疑い)は、細菌や毒素を体外に出せなくなるので原則禁忌」
となっていますので、ご注意下さい。
フィルム剤なので・・・
- 水なしでなめるだけ
- 財布にも入る薄さ
というのも山では大きなメリットですね。
※いざというときに備えてスマホケースの隙間に入れておくのもアリ👍
(濡れた手で触ると溶けてしまうので要注意)



山での下痢止めは『治療』ではなく『退却のための時間稼ぎ』です。
悪いものを出し切るのが基本ですが、山では「脱水」と「行動不能」が遭難に直結します。
「まずは下痢止めで無理やり止めて、その隙に安全圏まで下山する」という考えで選択・行動して下さい。
【こむら返り】芍薬甘草湯
コレは有名なので知っている方も多いかもしれませんね。
「足が攣って動けない」というときに使用すれば、 即効性が高く、筋肉の異常収縮を抑えます。
お守りとして1〜2包はあると安心です。
予防的にはあまり効果がないのでオススメできません。
ちなみに薬ではないですが、足が攣った時に最も効果があるのはストレッチです。
攣っている=筋肉の過剰収縮です。
その筋肉を引き延ばす方向にストレッチするのが最も有効でエビデンスもある対処法になります。


【虫刺され&皮膚トラブル】リンデロンVs
ブヨやハチの虫刺され、植物によるカブレ。
これらに有効なのは“ステロイド外用薬”です。
ウナコーワ®、ムヒアルファ®などの抗ヒスタミン薬が主剤の虫刺され用の薬剤はあまり効果はありません。
刺された直後に “強いステロイド” でガツンと炎症を抑えるのが有効です。
ステロイド外用薬には強さのレベルがあります。


特にハチやアブといった虫刺されによる炎症は非常に強いため、できるだけ強いステロイド外用薬を使う必要があります。刺された直後の初期に強いステロイド外用薬を塗ることで、炎症の火種を叩けば、軽症で済むことが多いです。
もちろん処方薬が最強ですが、事前に処方しておいてもらう必要があります。病院に受診しても予防的に処方してもらえるケースは少ないかもしれません。
そうであれば、市販薬では最強に位置する”リンデロンVs“をオススメします。
フルコートfでもいいですが、リンデロンVsの方が軟膏、クリーム、ローションと複数の選択肢があって使い分けができるためオススメです。
- “市販薬最強”のステロイド外用薬
- 市販薬なので簡単に入手可能
- 虫刺されは刺された直後に塗布した方が効果的
- ローション・クリーム・軟膏といろんな剤形がある
「ローション・クリーム・軟膏の使い分けが分からん」という方はこちら👇の記事も参考にして下さい。


【番外編:日焼け止め】
皆さん、登山では日焼け止めを使っていますよね。
過去に凍傷でご紹介した諏訪中央病院皮膚科の光楽先生からオススメされた日焼け止めがあるのでご紹介します。





塗布しているのを忘れるくらい軽く、肌になじみやすく、肌に優しく、お値段お手頃。言うことないです。
僕自身も愛用しています。是非、参考にして下さい😊
なお、実はアクアリッチウォータリーエッセンスは第1世代〜第5世代まであるらしく、2026年1月現在で最新版は第5世代とのことです。
第5世代はこちら👇ですのでお間違いなく。
まとめ


いかがでしたか?
携帯型心電計のあたりなどは「少しマニアックすぎる」と感じたかもしれませんね😅
自覚していますが、そこはやはり循環器内科医としては一応紹介したいな・・・と。
- 以下の商品名からAmaoznへリンクで飛べるようになっています。気になる商品は是非チェックしてみて下さい😊
体調変化を”可視化”するデジタルデバイス
- コニカミノルタPULSOX-Neo:酸素化と脈拍数を見える化するパルスオキシメーター
- “視認性が高い”、“精度が良い”がポイント
- 脈拍数を持続的に計測できるパルスオキシメーターは山岳医必須アイテムです。
- Garmin Fenix8:心拍数・不整脈を管理するスマートウォッチ
- 脈拍数の精度が高い
- 心電図計測ができる
- バッテリー長寿命
このあたりが山でも信頼して使えますね。
- オムロンHCG-8060T:心臓を見える化する極小携帯心電計
“軽量性”、”コンパクト”、”精度”は抜群です。
一般の方にはややマニアックですが・・・
・山に登る医師
・不整脈のある方
は是非装備に加えてください!
山岳医が厳選した”山で使える市販薬”
- 解熱鎮痛剤:ロキソニンS、タイレノールA
- 炎症を抑えるならロキソニンS
- 安全第一ならタイレノールA
- 胃腸薬:ガスター10速溶錠
- 水なしで飲めるのがポイント。
- 胃が弱い人は是非。
- 下痢止め:ストッパ下痢止めEX、トメダインコーワフィルム
- 「下痢の基本は止めない」だけど、山ではそうも言ってられない。一時的にでも止めて下山しないと遭難リスクになる
- どちらも水なしで飲めます。
- いざというときのために是非忍ばせて下さい。
- こむら返り:芍薬甘草湯
- 予防薬としてではなく、攣った時にご使用下さい。
- 虫刺され・皮膚トラブル:リンデロンVs
以上です!
道具は、持っているだけでは意味がありません。
しかし、代替できるものが常に山の中にあるわけではありません。
「正しい道具」と「正しい知識」を持っていれば、自分と仲間の命を救うことができます。
次回の登山までに、ぜひ一度あなたのファーストエイドキットを見直してみてください。
前編冒頭でも書きましたが、「コレが正解!」というわけではありません。
是非皆さんのファーストエイドキットの中身、考え方についてもコメントいただけるとうれしいです。
最後まで閲覧いただきありがとうございました!















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