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はじめに
こんにちは!市川です!
僕の自己紹介はコチラ

循環器内科医としての病院勤務の傍らで、国際山岳医(DiMM)として以下のような活動をしています。
✔️登山者検診/登山者外来による予防・登山サポート
✔️赤岳鉱泉山岳診療所を運営(日本で唯一冬季診療も行っている診療所)
さらに「医療から登山をもっと安全に」をミッションとしてブログを通じて登山における医学的内容を発信しています。
市川智英
今回はギアレビュー回です。
「HUAWEI WATCH D2」という登山で使えるスマートウォッチについて深掘りします。
HUAWEI WATCH D2は世界初かつ2026年3月時点で唯一の“血圧測定が可能”なスマートウォッチです。
日本人における高血圧患者数は約4,300万人、そのうち管理不良な高血圧が3,100万人もいると推定されています。
つまり、日本人の3人に1人は高血圧です。
当然、若年者には高血圧は少ないので、中高年になれば3人に1人どころではないことは明らかです。
つまり、中高年登山者のなかにも高血圧の方がたくさん混ざっているということです。

健康診断で高血圧を指摘されたけれど、山に登っても大丈夫だろうか?
こういう登山者はたくさんいらっしゃるはずです。



過去の記事でもお伝えしましたが、高所では血圧が上がります。
つまり、登山中にも血圧を意識することはとても大切です。
山岳遭難死因の第3位は“心臓突然死”とされています。
登山中の突然死の背景として、“運動”や“高所という環境”による血圧変動や心拍数増加が引き金になっていると推定されます。
これまでは登山中に血圧を測るのは容易ではなく、研究目的での山岳診療所などでの測定データしかありませんでした。
しかし、「HUAWEI WATCH D2」の登場により世界は大きく変化しました。
誰でもいつでもどこでも簡単に血圧が測れる時代がやってきました!
- なぜ登山中に血圧管理が必要か
- HUAWEI WATCH D2のここがすごい!
- HUAWEI WATCH D2のここがイマイチ
- HUAWEI WATCH D2を登山で使いこなすには
手首の”エアバッグ(カフ)”でいつでも血圧を実測できる画期的デバイス「HUAWEI WATCH D2」
実機を購入して、1ヶ月ほどいろいろと使ってみた循環器内科医・国際山岳医の視点から、このデバイスが登山の新常識になり得るのかを徹底レビューします!
ちなみに価格は49,800円(2026年3月時点)。
高いと取るか安いと取るかはあなた次第!
特に血圧が気になるあなた!今回の記事を読んでいただければ決して高くないと感じるはずです😊
\世界初!血圧測定が可能なスマートウォッチ/




なぜ登山中に血圧管理が必要なのか?
なぜ登山中に血圧管理が必要なのか?
以下の3つのポイントに分けて解説します。
- 高所では血圧が上がる
- 山岳遭難死亡の第3位が心臓突然死
- 山小屋での失神(血圧低下)は珍しくない
高所では血圧が上がる
詳細については過去記事を見ていただくのが一番です。


しかし、それはちょっと面倒だという方のために端的に言えば、「高所では血圧は上がります」。
この事実についてはいくつも研究が成されていて、どの研究でもほぼ一貫して同様の結論となっています。
代表的なものを1つ挙げると・・・
高血圧患者は急性高所曝露により、
- 降圧薬を内服していても、内服していなくても、いずれも有意に24時間血圧が上昇する。
- 降圧薬を服用していた方が血圧の上昇幅は抑制される。
と報告されています。


僕自身も赤岳鉱泉で血圧を測ったらBP144/100mmHgと立派な高血圧でした・・・😅
普段はこんな値は出ないので何気にショックですね・・・。
夜間・早朝高血圧の可能性
登山中には“夜間や早朝に異常高血圧”になっているケースがある
就寝中というのは一日の中で最もリラックスしている時間帯であり、本来は血圧も低めになります。
しかし、高所では・・・
- 睡眠は激しい運動(9METs相当)よりも低酸素血症になること
- 誰しもが睡眠時無呼吸になること
が知られています(過去記事参照)。
山小屋で寝ていると周囲のイビキがうるさかったり、隣で寝ている人が急に呼吸が止まって「コイツ大丈夫か?」と思った経験はありますよね。
それ実はあなた自身もそう思われているかもしれません😅
これは「高所性周期性呼吸(High-Altitude Periodic Breathing)」と呼ばれる、高所特有の生理的な反応です。
メカニズムは以下の通りです。
- 低酸素による過換気
酸素分圧が低いため、体は無意識に呼吸を速く・深くして酸素を取り込もうとします。 - 二酸化炭素の低下
呼吸をしすぎることで、体内の二酸化炭素が外に出すぎてしまいます。 - 呼吸の停止(中枢性無呼吸)
脳は二酸化炭素濃度で換気量をチェックしているため「二酸化炭素が減ったから、もう呼吸を休んでいい」と勘違いし、睡眠中に呼吸を止めてしまいます。 - 再開と覚醒
呼吸が止まると再び極端な低酸素状態になり、慌てて激しい呼吸(過換気)を再開します。
睡眠中、この“過換気”と“無呼吸”のサイクルをずっと繰り返しているのが高所性周期性呼吸です。
実際に、軽度睡眠時無呼吸を持つ登山者が高所(アコンカグア登山)で中枢性無呼吸が顕著に悪化して、登頂不能や高山病の重症化に至った例も報告されています。
Alvaro Emilio Ortiz-Naretto, et al. Sleep Sci. 2020 Apr-Jun;13(2):138–144.
通常、私たちが平地で眠っている間は副交感神経(リラックス)が優位になり、血圧は昼間よりも10〜20%ほど下がります。これを医学用語で「Dipper型(下がるタイプ)」と呼びます。
しかし、山岳環境で前述の“周期性呼吸”が起きるとどうなるでしょうか?
無呼吸による極端な低酸素と、息苦しさによる細かな覚醒が繰り返されるたびに、脳は「危険だ!」と判断し、交感神経(興奮・緊張)を強烈に刺激し続けます。その結果、大量のカテコラミン(ストレスホルモン)が分泌され、血管がギュッと収縮します。
つまり、本来リラックスできるはずの睡眠時間が、高所においては緊張状態(交感神経興奮)となりえるのです。
■ 忍び寄る“Non-dipper“と“Riser“のリスク
交感神経が優位になり続けることで、本来下がるはずの夜間血圧が下がらない、あるいは逆に上がってしまう現象が起きます。
- Non-dipper型:
夜間の血圧下降度が10%以下と少なく、昼間とあまり変わらない高い血圧が続く状態。 - Riser型:
昼間よりも、むしろ寝ている夜間の方が血圧が上昇してしまう状態。
循環器内科の領域において、この“Non-dipper型”や“Riser型”の夜間高血圧は、脳や心臓、腎臓といった臓器障害が多く、脳卒中・心筋梗塞といった脳心血管死亡のリスクが有意に高いことが複数の研究で示されています。
「平地では血圧がコントロールできている」という高血圧の方でも、山での就寝中には、この危険な”Riser型”に変貌している可能性が十分にあります。
高所滞在により、“Non-dipper型”や“Riser型”の割合が増加するというデータも複数あるので、山小屋スタッフなども要注意ですね。


山岳遭難死亡の第3位が心臓突然死


登山中の急性心筋梗塞・心臓突然死の多くが日中に発生しており、登山中の急激な血圧変動や心拍数の上昇が原因で血管ストレスの結果として発生すると推測されます。
しかし、前述の通り、“Non-dipper型”や“Riser型”の夜間高血圧は、脳や心臓、腎臓といった臓器障害が多く、脳卒中・心筋梗塞といった脳心血管死亡のリスクが有意に高いことが複数の研究で示されています。



過去に「山小屋に宿泊中の高齢のお客さんが朝起きてこないので、小屋番さんが部屋に行くと亡くなっていた」という残念なケースも経験しています。
夜間・早朝高血圧を侮ってはいけません。
高所による夜間・早朝高血圧が登山中の夜間〜早朝にかけて心血管トラブルを引き起こす要因の一つと考えられます。




登山中の突然死の主因「急性心筋梗塞」とは? 十勝毎日新聞 ■年7月●日 午後2:55頃、トムラウシ山(2141m)の登山道上で男性が倒れていると、登山者から消防に救助要請があった。男性は同日午後7:39 搬送先の病院で死...
山小屋で失神する⁉急激な血圧低下に注意!



赤岳鉱泉山岳診療所では毎年数名の失神(意識消失)を経験します。
そのほとんどが山小屋での“飲酒時”や“入浴時”です。
もともと登山中にはほとんどの方は脱水状態になっています。
脱水状態とは血管内の水分量が減っている状態であり、ここに飲酒や入浴による“血管拡張”が加わると、一気に血圧が低下して意識消失を来します。
通常はすぐに意識が回復するため命に関わることはありませんが、中にはケガに繋がるケースもあります。
完全に卒倒してしまうケースだと全く受け身を取らないので、相対的に重たい頭部・顔面を地面に打ちつけて、大けがを負うケースもあります。
“血圧低下”と聞くと、高血圧の方には無縁かと思われがちですが、実は高血圧の方がこの現象はよくみられます。
したがって、適切な血圧管理が予防の1つになります。
少し長くなってしまいましたが、以上を改めてまとめると・・・
- 高所では血圧が上がる
- 平地では血圧管理が良好でも高所では高血圧に・・・
- 睡眠中の低酸素により、夜間〜早朝にかけて異常な高血圧になりやすい
- 山岳遭難死亡の第3位が心臓突然死
- 高血圧管理が不十分だと、動脈硬化が進行し、登山中の心筋梗塞に繋がる
- 異常な高血圧は血管ストレスになり、心筋梗塞を誘発しうる
- 山小屋での失神(血圧低下)は珍しくない
- 日常的な血圧管理が不十分な人ほど、山では血圧低下で倒れやすい
以上を踏まえると、登山中であっても血圧管理はとても重要になってきます。
HUAWEI WATCH D2 ここがすごい!
さて、ここからは本題であるHUAWEI WATCH D2について語っていきます。
- 血圧測定ができる唯一のスマートウォッチ
- にもかかわらず普通のスマートウォッチと遜色ない外観
- 心電図記録も可能
- 6日間保つ長時間バッテリー
- 一般のスマートウォッチがカバーしている機能は概ね網羅
- 心拍数計測
- 酸素飽和度測定
- 高度計(気圧計)
- ストレス管理
- 睡眠管理
- 皮膚温度測定
- GPS搭載
血圧を測定できる唯一のスマートウォッチ
まず最大かつ唯一無二のメリットは“いつでもどこでも誰でも簡単に血圧測定ができる”という点です。
カフ(空気袋)で締め付けて測定する「オシロメトリック法」を採用しており、これにより、医療機器同等の信頼性があります(管理医療機器:自動電子血圧計認証を取得)。
従来の光学式センサーによる”推定値”ではなく、超小型ポンプとエアバッグで“物理的に測定できる”のが最大の強みです。
しかも、登山行動中に邪魔にならないサイズ感で、血圧測定中もほとんど見た目にはわかりません。
(下の動画で血管が浮き出ているように血圧測定中には手はそれなりに締め付け感はあります)
《血圧測定中の動画》
手首でABPM(24時間血圧測定)もできる!
ABPMとはAmbulatory Blood Pressure Monitoringの略で、直訳すると「歩行可能な血圧持続監視」となります。
分かりやすくいえば、”家庭環境で24時間継続的に血圧を測定して一日の中での血圧変動をモニタリングする検査”です。
前述のNon-dipper型(夜に血圧が下がらない)やRiser型(夜に血圧が上がる)は診察室での検査では見つけられません。
家庭血圧であっても夜中に測るのは現実的ではありません。
したがって、ABPMと呼ばれる検査で24時間継続して血圧測定を行う必要があります。
これまではABPMを行うには右図のような機械をつけて1日生活する必要がありました。
無理をすれば登山中にもつけられなくはないが、かなり不快ですよね。腕のところなんて汗でびっしょりなりそうです。


それが今回、重量わずか82gのスマートウォッチに搭載されました。
「自動血圧モニタリング」を選択すると、自動で継続的に血圧を測定するモードになります。
下図の通り、「夜間の時間指定」、「計測頻度」などが選択できます。






この機能を使うことで容易に睡眠中の血圧変動を確認することができます。
つまり、 高所での睡眠時無呼吸に伴う、夜間血圧の上昇(Non-dipper / Riser)をモニタリングすることができます。
心電図記録もできる!
Apple watchやGarminの上位機種同様に心電図記録が可能です。
登山中に心電図記録ができるメリットについては過去記事をご参照下さい。
実際の計測の様子はコチラ↓
記録した心電図はスマホで確認可能です。
「洞調律(正常)」か「心房細動」かも自動で判断してくれます。
心電図レポートとしてPDFでダウンロードもできるため、印刷して医師に相談することも容易です。




6日間保つ長時間バッテリー
公式見解では、
- 血圧を毎日6回測定
- 心拍数常時記録
- 睡眠記録
- 血中酸素レベル常時記録:睡眠時無呼吸の記録に
- 週90分のワークアウト
- 各種通知の受取
この状態でも“最大6日間はバッテリーが持つ”ということです。
“最大”とはなっていますが、僕の体感でも普通に5〜6日は持ちそうな感じです。
やはり登山で使うとなるとバッテリーの持ちは非常に重要です。
Apple watchはヤマレコとの相性も最高で非常に便利なのですが、Apple watch唯一の欠点がバッテリーです。1泊2日程度ならApple watchでも保ちますが、やはり心配なので泊まりの場合には充電ケーブルを持って行ってしまいます。
その点、HUAWEI WATCH D2なら通常の登山であれば、よほどのことがない限り充電ケーブルは不要です。
日常使用でも入浴中だけ充電すれば、就寝中含めて無限に使えます。
- 登山用ワークアウトを多用するとバッテリーの持ちは一気に悪くなります。
- 日帰り程度なら問題ないですが、2泊3日の縦走などではやめた方が無難です。
- 24時間ABPMを使用すると公称約1日間となっています。
- 僕が使用した限りでは丸1日ABPMを使用してもバッテリー残量は6-7割ぐらい残っていました。
- 登山で使う際には就寝中の夜間のみABPMを使うことをオススメします(後述しますが、どのみち登山中には計測できません)。
一般のスマートウォッチがカバーしている機能は概ね網羅
Apple watch、Garmin、Suuntoなど一般的なスマートウォッチが有している機能はほぼ網羅されています。
- 心拍数計測
- 酸素飽和度測定
- 高度計(気圧計)
- ストレス管理
- 睡眠管理
- 皮膚温度測定
- GPS搭載
これで49,800円(2026年3月時点)というのは、かなり驚異的な安値だと思います。
唯一ないのが地図機能ぐらいですね。
コチラに関しては次の章(デメリット)で解説します。
HUAWEI WATCH D2 のここがイマイチ
これまで散々褒めちぎってきましたが、気になる点がないわけではありません。
登山者、山岳医の視点であえて厳しい目線でも評価します。
- 山岳環境での限界と懸念点
- 登山行動中の血圧測定は難しい
- 地図表示ができない
- GPSログを使うとバッテリー持ちが1泊2日程度
山岳環境での限界と懸念点
HUAWEI WATCH D2はあくまで健康管理に特化したモデルであり、アウトドアモデルではありません。
したがって、登山やダイビングを想定したようなスマートウォッチには山岳環境への適応で劣ります。
【野外環境に対する公式スペック】
- 大気圧:80〜108kPa
- IP68規格の防水防塵性能
- 使用温度:5〜40℃
- 保管/輸送温度:-20〜55℃
- 湿度:10〜95%
僕は最初にこんな疑問を感じました。



そもそもの疑問として、気圧変化による測定精度への影響はないのか?
カフによる圧迫測定のため、高所の低気圧環境下でポンプのキャリブレーションや測定値に誤差が出ないか?
公式スペックでは80〜105kPaに対応するとなっています。
これを標高に換算すると“標高-310〜1,950mに対応”となります。
これだけみると登山中の値が信用できるかちょっと微妙ですよね😅
しかし・・・
80〜105 kPa(800〜1,050 hPa)という範囲は、実は医療機器(血圧計、パルスオキシメーター、CPAP、携帯型酸素濃縮器など)や精密電子機器における「正常動作を保証する環境気圧(仕様上の使用条件)」として、国際基準で非常によく設定されている範囲です。
おそらくですが、過去の高所研究においても平地でも使用している血圧計を用いて研究を行っていると推測されます(文献内で高所に特化した血圧計を使用したという記載をみたことがありません)。
さらに、測定原理から考えると、外気圧が変わっても、センサーがきちんとゼロ点補正されていれば、血圧値は「カフ圧-外気圧」に対応するため、理論上は大きな誤差は生じないと考えられます。
したがって、HUAWEI WATCH D2も医療機器として院内で使用されている血圧計と同等の環境基準であることからは、登山中の使用に関してもその数値はある程度信頼できるのではないかと考えています。



少なくとも相対値評価としては使用可能ですので、山小屋に着いた時点(その日の標高が確定した時点)で一度血圧測定を行い、その値と比較して考えるという使い方をすれば問題はなさそうです。
IP68規格の防水防塵性能
IP68とは「水深1.5mで30分に耐えられる」という防水レベルです。
一般的な電子機器の防水防塵性能としては十分でしょう。
しかし、アウトドアモデルのスマートウォッチでは耐水圧100mなども珍しくはないので、そのようなモデルと比べると見劣りはします。
汗、雨レベルは問題ないが、沢登りなどの水没には耐えられない可能性があるため注意が必要です。
使用温度:5〜40℃、保管/輸送温度:-20〜55℃
「使用温度:5〜40℃」となると雪山で使えるのか?という疑問が湧きますよね。
2月の硫黄岳登山では問題なく使えましたが、今年の2月はご存じの通りかなり暖かかったのでなんとも言えないところではあります。



未明から出発しており、出発時には氷点下ではありました。
時計は常に腕に接触していることからよほどの厳冬期でない限りは問題なく使えるのではないかと考えています。
輸送温度は-20℃に対応しているので、腕につけていれば、寒さで壊れることはないと思います。
ただし、内蔵された極小ポンプやエアバッグ(カフ)の素材は、氷点下の外気に直接晒され続けると柔軟性が低下し、破損する可能性もあるかもしれません。
厳冬期にはベースレイヤーやミドルレイヤーの袖の下にしっかりとデバイスを隠し、体温で保温しておいた方が無難でしょう(そもそも厳冬期の稜線で血圧測定する必要はありません😅)。
登山行動中の血圧測定は難しい
血圧測定時には腕を心臓の高さにして安静にする必要があります。
実際に僕がABPMで使用していても日中活動時には登山でなくても動いていると「測定不可」となることが多いです。
血圧測定が自動で始まると、手首の締め付けですぐに気がつくので、その際に安静にすればいいのですが、仕事中などそういうわけにもいきません。
登山中なら測定ごとに休憩してもいいかもしれませんが、バッテリー持ちの観点からもわざわざ日中行動中に血圧測定をする意義は低いと思いますので、行動終了後や夜間のみの計測で十分です。
オススメの血圧測定タイミングについては次の章(実践的アドバイス)で解説します。
地図表示ができない&GPSログを使うとバッテリー持ちが落ちる


GPSは備わっているのですが、地図表示ができません。
ヤマレコやYAMAPから登山地図をGPXファイルでダウンロードすればいけるかと思ったんですが、僕は上手く取り込ませることができませんでした(できる方法知っている人がいれば是非コメントで教えて下さい)。
ただし、現代登山者の多くはスマホでGPSログを取っているのではないでしょうか?
僕としてもヤマレコやYAMAPを使用して常にGPSログ+現在地を通信しながら登山をすることをオススメします。
そうすることで遭難した場合の発見率が大幅に改善するからです(過去記事参照)。
そうなるとスマホでログを残しているのに、わざわざスマートウォッチでもログを残す必要はなくなります。
スマートウォッチ地図で現在地が簡易的に確認できる利便性は確かに理解できますが、
- 「HUAWEI WATCH D2のバッテリーは健康管理に使う」
- 「現在地確認はスマートフォンや紙地図で行う」
と割り切って使っても良いのかなと思います。
HUAWEI WATCH D2は登山で使える?:山岳医からの実践的アドバイス
ここまでの解説を聞いて、以下のような疑問が残っているのではないでしょうか。



なんとなく登山中に血圧を測るメリットも分かったし、HUAWEI WATCH D2は使えそうということも分かったけど、素人が登山中に血圧を知ってどうすればいいのさ?
安心して下さい😊
最後に山岳医・循環器内科医としてHUAWEI WATCH D2を使いこなすための実践的アドバイスをします。
- 山のベースラインを知るための5点の定点観測
- 具体的な運用方法
この2点について解説します。
山のベースラインを知るための5点の定点観測
HUAWEI WATCH D2はABPMを用いて登山中にずっと血圧を測定し続けることもできますが、行動中には上手く血圧が測れないこと&バッテリー持ちの観点からもオススメはしません。
以下の5つのポイントを抑えて血圧を測りましょう。
出発前にベースラインとしての血圧をチェックしておきましょう。
血圧測定にかかる時間は1分ほどです。はやる気持ちを抑えて穏やかな心で血圧を測って下さい。
- 標高が高く疲労が溜まっている状態での負荷を確認します。
- 到着直後は運動の影響で高めになってしまうので、5〜15分ほど休憩してから計測しましょう。
- 普段よりも血圧が高い
体の緊張状態が続いています。ストレッチや深呼吸をしてしっかり休息しましょう。 - 血圧が変わらない or 低い
血圧が上がるはずの高所で低いのは異常事態です。
かなりの脱水状態が疑われるので、十分な水分・塩分補給を行いましょう。
- 普段よりも血圧が高い
脱水状態での飲酒は血圧低下(失神)の最大リスクになります。
直前に血圧をチェックして、普段よりも低めであれば、飲酒の前にしっかりと水分補給をしましょう。
リラックスできているか?高所順応がうまくいっているかの指標としてチェックします。
この時点で血圧が普段よりもかなり高く、脈拍数も多い場合には高所順応がうまくいっていない可能性があります。
- 深呼吸をしてから就寝
- 枕を高くして上体を起こして就寝
これらを行うことで睡眠中の低酸素→高山病の発症を予防しましょう。
夜間低酸素状態だとモーニングサージと呼ばれる早朝高血圧が起こりやすくなります。
モーニングサージは脳卒中や心筋梗塞リスクが高まります。
「山で寝るといつも朝の血圧が高い」
こういう状態が続くなら就寝前の降圧治療強化を主治医に相談して下さい。
あるいは、枕を高くして上体を起こして就寝することでモーニングサージを抑制できるかもしれません。
- 就寝前
- 起床時
この2つに関しては夜間のみABPM(自動血圧モニタリング)機能を使用して、夜間全体の血圧を把握することも大切です。
血圧値の具体的な運用方法
「山のベースラインを知るための5点の定点観測」の中でも大まかな対策方法については記載しましたが、医療の素人が山の中で血圧値を知ってどう対応すべきかを解説します。
- 医師とのデータ共有に真の価値がある
- 登山中の血圧レッドカード2選
医師とのデータ共有に真の価値がある
大前提として、医学的知識がない登山者が1つの血圧値だけを判断基準にして行動を決めるのは不適切です。
我々医師は血圧値だけで判断しているわけではなく、他のバイタル(心拍数、酸素飽和度、体温)や身体所見、自覚症状を加味して総合的に判断しています。
それを超簡潔にまとめたものが「山のベースラインを知るための5点の定点観測」ですが、本来は何年間も医学を勉強+臨床経験があって初めてできる判断であり、このブログ内の短い文章で解説しきれるものではありません。
多くの場合、高血圧はサイレントキラーであり、自覚症状として表れてきません。
得られた血圧データを主治医と共有することで、次の登山をより安全にしていけるように利用するのが真の価値となります。
「主治医は山に詳しくなくてアドバイスがもらえない」
そんなときには是非、松本協立病院の登山者検診・登山者外来を検討してみて下さい😊
\登山者向けの人間ドック!高血圧だけの方はこちら/
\心臓病を抱える方のセカンドオピニオン外来/
登山中の血圧レッドカード2選
血圧で行動を判断するのは難しいのですが、そんな中でもこの2つに関してはレッドカード=即救助要請です。
- 苦しいのに低血圧
- 異常な高血圧+自覚症状
- 苦しいのに低血圧
人は本来“苦しいとき”、”痛いとき”には体が緊張状態(交感神経興奮)となり、血圧が上がるのが正常な生体反応です。
逆にこのようなときに血圧が下がっているのは、体が代償できなくなっている≒生命の危機が迫っている可能性が高い状態です。
意識がしっかりして水分摂取をするだけで回復すれば良いですが、そうでなければ救助要請を行いましょう。
- 異常な高血圧+自覚症状
血圧値は人によってかなり変わるので「異常高血圧とは、●●mmHg以上」と一概に言いにくいところがありますが、ざっくりBP200mmHg ぐらいで考えて下さい。
ただし、本人にとっては普段からはあり得ない高血圧と考えた方がいいです。普段から90mmHgぐらいしかない人は160mmHでも異常高血圧かもしれません。
自覚症状には、麻痺、呂律が回らない、呼吸困難などが該当します。
「本人にとっては普段からはあり得ない高血圧」+「自覚症状(麻痺、呂律が回らない、呼吸困難など)」
この2つがそろったら、例え、歩ける状態であっても安静を維持して、速やかに救助要請を行いましょう。
まとめ
まとめです!
HUAWEI WATCH D2は、山での見えない血圧リスクを可視化してくれる画期的なツールです。
登山者の自己管理・リスク予測ツールとしては極めて優秀で「ゲームチェンジャー」になり得る存在です。
Apple watchを皮切りに医療業界ではウェアラブルデバイスが注目を浴びています。
スマートウォッチのように苦もなく当たり前のように24時間装着していられるデバイスで健康情報を収集して、医療に活かす。
そんな時代が来ています。
- 血圧測定ができる唯一のスマートウォッチ
- にもかかわらず普通のスマートウォッチと遜色ない外観
- 心電図記録も可能
- 6日間保つ長時間バッテリー
- 一般のスマートウォッチがカバーしている機能は概ね網羅
- 心拍数計測
- 酸素飽和度測定
- 高度計(気圧計)
- ストレス管理
- 睡眠管理
- 皮膚温度測定
- GPS搭載
- 山岳環境での限界と懸念点
- 登山行動中の血圧測定は難しい
- 地図表示ができない
- GPSログを使うとバッテリー持ちが1泊2日程度
HUAWEI WATCH D2は登山でも十分に利用可能なスマートウォッチですが、決して完璧なスマートウォッチではなく、他のスマートウォッチと比較してデメリットもあります。
しかし、それを補ってあまりあるほどの魅力があります。
特に「高血圧と診断されている方」、「中高年で血圧が気になっている方」
そういう方々には是非、登山装備の選択肢の1つにしていただければ幸いです。
かく言う僕もすでに立派な中年です。
実際にHUAWEI WATCH D2を購入後から毎日血圧を測ると意外と上がっている時間帯もあり、「生活習慣を改めないと・・・」と反省しています😅
「敵を知り己を知れば百戦あやうからず」
健康管理に特化して山でも使えるHUAWEI WATCH D2で是非「己を知って」安全に登山を楽しみましょう!
最後まで閲覧いただきありがとうございました!


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