毎週火曜日に新規記事を更新予定。お楽しみに(^_^)

【山岳医が解説】残雪期の”雪目”の予防・現場対処|紫外線角膜炎対策の決定版

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目次

はじめに

こんにちは!市川です!

僕の自己紹介はコチラです

循環器内科医としての病院勤務の傍らで、国際山岳医(DiMM)として以下のような活動をしています。

✔️登山者検診/登山者外来による予防・登山サポート
✔️赤岳鉱泉山岳診療所を運営
(日本で唯一冬季診療も行っている診療所)

さらに「医療から登山をもっと安全に」をミッションとしてブログを通じて登山における医学的内容を発信しています。

今日のテーマは「雪目(ゆきめ)」です。

登山を長くやっていて知らない方はいないであろう「雪目」
登山者に意外と多いトラブルですよね。

今年は雪が少ないとはいえ、北アルプスはまだまだ雪山。
残雪期に意外と怖い”雪目=紫外線角膜炎”について解説します。

真夏じゃないし、サングラスは忘れたけどまあ大丈夫かな

曇りだからUV対策はなしでいいでしょ。

──そう思って登山したあの日、夜になって急に両目がゴロゴロ・ジンジン・涙ポロポロ…。

上記はほぼ確実に「雪目(ゆきめ)」です。
正式には紫外線角膜炎(photokeratitis)といって、山岳医療の世界では「残雪期の定番トラブル」として古くから知られています。

実は“5月の紫外線は真夏並み”ということはご存知ですか?

  • 新雪の紫外線反射率は最大80%(環境省 紫外線環境保健マニュアル2020)
  • 乗鞍岳2,772m地点の紫外線量は、平地(つくば31m)より約40%強い(気象庁データ)

この2つが掛け算で効いてくるので、5月の残雪期は実質「真夏の海より強い紫外線」が目に刺さってきます。

今回の記事を読むとわかること
  • 5月の紫外線が「真夏並み」と言える科学的な根拠
  • 雪目(雪盲・紫外線角膜炎)がどういう仕組みで起きるか
  • 予防がベスト:雪目対策に最適なサングラスは?
  • 雪目になったときのセルフケアと、病院に行くべきタイミング

忙しい方は以下の3つだけでも覚えてください!

  • 【予防】サングラスは「サイドシールド付き」「UVカット率99%以上」「可視光透過率5〜15%」がお勧め
  • 【雪目になってしまったら…】暗所安静+冷却+人工涙液。多くは24〜48時間で軽快します。
  • 【雪目に対するNG行為】
    • 目を擦る
    • 眼帯で保護
    • コンタクト装用継続

なぜ雪目対策が必要なのか

ポイントは以下の3つです。

  • 🌨️ 新雪のUV反射率は最大80%
    • 地面・横斜面・岩雪渓から「下からも横からも」紫外線が来る
  • 🏔️ 標高2,500〜2,800mでは平地より約1.4倍のUV量
  • 🌙 痛みは曝露中ではなく、6〜12時間後に襲ってくる「遅発性」

新雪の紫外線反射率は80%──雪面は「下からもUVが襲ってくる」

地表面ごとの紫外線反射率(環境省データ)

  • アスファルト:約10%
  • 水面:10〜20%
  • 砂浜:10〜25%
  • 新雪:最大80%

出典:環境省, 紫外線環境保健マニュアル 2020.

海外のデータでは古い雪(ザラメ雪)でも50〜70%と報告されています。
砂浜やアスファルトでは「上からのUV」だけを気にしていればよかったのに、雪山では上からのUV+雪面で跳ね返ってくるUV+横斜面・岩雪渓からの横方向UVを全方位で浴びることになります。

「目の下から照り返すUV」は、普通のサングラスだけでは不十分です。

1988年と古い文献ですが、マネキンを用いた実測研究で、レンズ自体のUV-B透過率: <2%とUVカット性能は良好であっても…

  • 眼に到達するUVは最大14.1%(標準装着時)
  • サングラスが額から6mm離れると最大44.8%まで上昇

というデータがあります。

F S Rosenthal, et al. Am J Public Health. 1988 Jan;78(1):72–74.

つまり、UV減衰量はサングラスの「サイズ、計上、装着位置に大きく依存」することがわかっています。
したがって、これが【予防】の章で出てくる“サイドシールド”“ラウンドアラウンド型”に大きく関わってきます。

標高が1,000m上がると紫外線は約10〜15%増える

もう一つ効いてくるのが「標高効果」です。
標高が上がるほど大気層が薄くなり、地表に届くUVは増えます。

気象庁の紫外線情報解説によると、UVインデックスは標高1,000mごとに約10%増加すると言われています。
さらに実測データの比較では、つくば(標高31m)と乗鞍岳(標高2,772m)の快晴時の紫外線量には約40%の差があり、これは1,000mあたり約15%増に相当します。

気象庁, 標高と紫外線(UVインデックス解説)より

ここで怖いのが、雪面反射 × 標高効果のダブルパンチです。

標高2500mの稜線では、平地の約1.35倍のUVが地表に届きます。さらに新雪はそのUVの約85%を反射し、足元からも眼を直撃します。

『北アルプス残雪期』は、紫外線曝露でみれば真夏の海辺と同等以上の環境です。
気象庁データでも5月の標高2500m地点のUVインデックスは7〜10に達し、真夏の平地(8〜10)と肩を並べます。
さらに新雪の80〜90%反射が加わると、眼に届く総UV量は海辺を超える可能性が高いです。

涼しさと残雪の美しさに油断していると、視覚的にも気温的にも警告サインがないまま、夏のビーチ以上のUVを浴びていることになります。

さらに、雲が多少あってもUVは透過するため、「曇りだから大丈夫」は通用しません
むしろ、薄曇りの日には雲が鏡のような役割を果たし、快晴時よりもUVが25%増えることがあるそうです。

確かに僕自身も曇りだからと油断して、日焼け止めをサボったら思った以上に日焼けした経験があります。

雪目(紫外線角膜炎)は角膜で何が起きているのか?

雪目とは…、
一言で言えば「眼の表面の皮が、紫外線で日焼けして剥がれ落ちる」病気です。

肌の日焼けと同じことが、眼の表面で起きていると考えてください。
違うのは、眼の表面には日焼けで色が変わる仕組みがない代わりに、神経がむき出しになっているため激痛を起こすことです。

雪目の特徴〜遅発性による油断と行動不能になりうる強い症状〜

雪目の特徴は、

  • 遅発性UV暴露6〜12時間後に発症
  • 激痛・開眼不能
  • 自然治癒:通常24〜48時間

です。
日中の登山中はまったく症状がないため、気づかないうちに進行して、夕方テントを張ってから、山小屋でくつろいでいるときに突然激痛が始まります。
ときには眼瞼痙攣を伴い、目が開けられなくなるほどです。

典型的症状

  1. 両眼性の激痛
  2. 眼瞼痙攣による開眼困難
  3. 強い羞明:眩しさを感じて暗所でも閉眼を要する
  4. 流涙
  5. 結膜充血
  6. 視力低下
  7. 重症例では頭痛、嘔気

自然治癒することから下山後であれば大きな問題にはならないかもしれません(日常生活は不便ですが…😅)
しかし、日中に浴びた日差し(紫外線)による雪目(紫外線角膜炎)は夜中〜翌朝にピークになります
夜中に激痛で目が覚めて、朝になったら目も開けられない…。

治癒までには通常24〜48時間かかりますので、登山中であれば、翌日の行動に大きく影響してしまいます。

まず角膜とは何か

角膜の役割

  • 眼の一番外側にある透明な膜(黒目の表面のドーム状のもの)
  • 厚さ約0.5mm — つまり1mmの半分しかない極薄構造
  • 役割は2つ:
    1. 光を屈折させる(眼のレンズの一部、ピント合わせの2/3を担当)
    2. 眼球内部を物理的に守る盾

角膜の構造(5層構造)

角膜は実は5枚の層が重なったミルフィーユのような構造です:

雪目で障害されるのは、一番外側の「上皮」だけ
角膜上皮は再生能力も高く、数日で自己修復することで治るのです。

UVが角膜上皮で起こすこと:ややマニアックなので興味がある方だけどうぞ

STEP
DNA損傷
  • UVの光子が角膜上皮細胞のDNAに当たる
  • DNA上でピリミジン二量体という異常な結合が形成される
  • これは皮膚の日焼けとまったく同じ機序
STEP
細胞のアポトーシス(自殺プログラム)
  • 損傷を受けた細胞は「自分は壊れた」と判断
  • アポトーシス(プログラムされた細胞死)に入る
  • UV曝露から4〜6時間後に細胞死がピーク
STEP
角膜上皮細胞の脱落
  • 死んだ細胞が角膜表面から剥がれ落ちる
  • 角膜上皮に点状の欠損ができる(点状表層角膜症)
    (フルオレセイン染色で点々と緑に染まる特徴的な所見)
STEP
神経終末の露出←これが痛みの正体
  • 角膜は人体で最も神経密度が高い組織(皮膚の300〜600倍)
  • 上皮が剥がれると、その下の三叉神経の終末がむき出し
  • 涙液・瞬目・空気の動きによって神経がこすられて激痛を引き起こす

一番大事なのは「予防」です!〜登山用サングラスの選び方4つのポイント〜

あとで雪目になってしまった際のセルフケアについて解説しますが、雪目は「予防できる病気」の代表格です。
ここを手抜きしない限り、ほぼ防げますので、まずは予防法を解説します。

予防のポイントは兎にも角にも「サングラスの着用」ですが、サングラスなら何でもいいというわけでもなく、サングラスにも選び方がありますので、その点を中心に解説します。

雪目症例の87%は「サングラス未着用」だった

NOLS(National Outdoor Leadership School)というアメリカのアウトドア教育団体の25年分の症例をまとめた論文があります。

  • 野外活動における雪目(紫外線角膜炎)の87%はサングラス未着用
  • 残りの13%はサイドシールドのないサングラス着用中に発症
  • 71%が晴天時、29%が曇天時に発症

McIntosh SE, et al. Wilderness Environ Med. 2011; 22(2): 144-147. PMID:21396859

上記文献からわかることは…

  • 曇天であっても紫外線角膜炎は発症する(曇天時でも紫外線対策は必要)
  • サングラスの着用で多くの紫外線角膜炎は防げる
  • サイドシールドなど正面以外からのUV対策も行えば、ほぼ予防可能

ということになります。

では具体的に、サングラスをどんな基準で選べばいいか。
ポイントは4つです。

ポイント①:UVカット率99%以上

日本の正規JIS規格は280〜380nmで透過率を測定することになっています。
厳密には紫外線は100〜400nmなのでカバーしきれていませんが、雪目(紫外線角膜炎)の原因となるUV-Bは280〜315nmであり、UV-C(280nm未満)はオゾン層で100%カットされることになっているので、事実上問題ありません。

したがって、JIS規格準拠でUVカット率99%以上であればUV-Bはほぼカットされます

チェックするときの注意点
  • UVカット率99%以上を選択
  • レンズの色の濃さとUVカット性能は無関係
    • 黒いレンズでもUVカット性能が低いものはある
    • むしろUVカットなしの色つきレンズは、瞳孔が開いてしまうぶん裸眼より危険

ポイント②:サイドシールドorラップアラウンド型

WMS眼外傷および眼疾患の診療ガイドライン2024が雪目予防の「最重要予防策」として推奨しているのがサイドシールドです。

理由はもう説明不要ですね──雪面からの反射UVは横からも入ってくるから。
普通のフラットなサングラスだと、顔とレンズのすき間からUVが侵入してきてしまいます。

文献等での検証はされていませんが、ラップアラウンド型と呼ばれるタイプも側方からのUVカットを意識して制作されており、有効だと考えられます。

ポイント③:可視光線透過率

UVカットとは別に、「まぶしさ」対策として重要なのが可視光線透過率(VLT:Visible Light Transmission)です。

  • 雪山・残雪期:VLT5〜15%(カテゴリー3〜4)が目安
  • 樹林帯の行動:VLT20〜40%(カテゴリー2)が目安
  • 曇り・ガスの雪山:VLTが低すぎると視界が見えず危険。
  • レンズ交換式や調光機能が便利

⚠️ 稜線ではVLT5〜10%で問題なくても、同じレンズでガスの中や樹林帯に入ると見えなくなります
そして前述の通り、ガスの中であっても紫外線は弱まることはなく、むしろ散乱によって増強する可能性すらあります。

可視光線の強度がコロコロ変わる登山では調光機能があると便利ですね。

ポイント④:偏光レンズは「おまけ」

最後に、よく誤解されるのが「偏光レンズ」です。

  • 偏光レンズは水面・雪面のギラつきを抑えるのに有効
  • ただし偏光=UVカット100%ではない
  • 液晶画面(スマホ・GPS)が見づらくなるデメリットあり

💡市川の独断と偏見による優先順位でいうと、
① UVカット率99%以上 → ② サイドシールド/ラップアラウンド型 → ③ 可視光線透過率 → ④ 偏光の順で選択するのがお勧めです。

偏光はあったら快適ですが、他3つを満たさずに偏光だけ付いていても雪目は防げません。

山岳医おすすめサングラス

前述の4つのポイントを踏まえて、市川セレクションサングラスをご紹介します。

① 定番モデル

GW残雪期の稜線・雪渓主体の登山なら、まずこの定番系から検討するのが王道です。いずれもサイドシールド/カーブ形状で側面UVを遮断でき、Cat 3〜4の濃いレンズで稜線のまぶしさにも対応します。

◾ Julbo Shield
フランス山岳ガイドの定番

  • UVA、B、Cを100%保護
  • リムーバブルサイドシールド付き
  • 可視光線透過率:5%~20%、調光機能はなし
  • 偏光フォトクロミックレンズ

◾ Julbo Vermont Classic
1950年から続くクラシック・氷河用モデル。ハードな氷河行で歴史的に使われてきた定番です。

  • UVA、B、Cを100%保護
  • レザーサイドシールド付き
  • 可視光線透過率:5%、調光機能はなし:曇の日はやや暗いかも
  • 偏光レンズなし
Julbo
¥36,869 (2026/04/29 12:48時点 | Amazon調べ)

◾ SWANS DF-Pathway(国産・スワンズ)
軽量・日本人顔フィット設計。国内入手性◎、コスパ良。鼻幅が合いにくい人や、Julboのレザーシールドが大袈裟に感じる人向け。

  • UV99.9%カット
  • サイドシールドなし
  • 可視光線透過率:22%(晴天~曇天向き)、調光機能はなし
  • 偏光レンズ
SWANS(スワンズ)
¥11,342 (2026/04/29 12:48時点 | Amazon調べ)

② 調光モデル

ガス→晴天の切り替わりが頻繁な残雪期は、レンズ1枚でカテゴリーが可変になる調光モデルが便利です。
樹林帯〜稜線〜ガス突入まで、レンズ交換なしに対応できます。

◾ Julbo Legacy グレイシャー フォトクロミック(Reactiv 2-4)

  • UVA、B、Cを100%保護
  • レザーサイドシールド付き
  • 可視光線透過率:7〜35%(晴天~曇天向き)、調光機能で曇天〜晴天まで対応
  • 偏光レンズなし

◾ SWANS SNOWFIELD F3(国産・調光)
調光(クリア⇄スモーク)でガス→晴天の切替に対応、アジアンフィット設計。コスパ良好。

  • UVカット99.9%以上
  • ラップアラウンド型
  • 可視光線透過率:20〜86%(曇天向き)、調光機能あり
  • 偏光レンズなし

雪目を疑ったら〜現場でできること〜

💡 雪目に対する現場対処の基本は:「暗所安静+冷却+人工涙液」です。
これだけで多くは24〜48時間で軽快します。

しかし、まずは雪目なのかどうかを鑑別するところから始めましょう。
雪目の特徴と違うところがあれば、それはすなわち違う疾患・病態である可能性が高くなります。

  • 片眼のみ
  • 膿性分泌物:白〜黄色い眼脂が出る→細菌感染を疑う
  • 痛みを伴わない視力低下
STEP
発症の認識・鑑別
典型的な雪目の発症状況
  • 行動中はまったく無症状
  • テント設営後、夕食時、シュラフに入った頃に両眼の違和感→灼熱感→激痛
  • 「目がゴロゴロする」→「涙が止まらない」→「眼を開けられない」と進行
  • 6〜12時間前のUV曝露がある

逆に以下は雪目ではない特徴です。

  • 片眼のみ
  • 膿性分泌物:黄〜緑色の眼脂が出る→細菌感染を疑う
  • 痛みを伴わない視力低下

上記のを1つでも満たすのであれば、別の眼疾患の可能性が高いため、できるだけ早期に眼科受診することをお勧めします。

STEP
発症時の急性期対応
  • コンタクトレンズをしていたらすぐに外しましょう
    • 角膜上皮が剥離していますので、装着を続けると角膜潰瘍へと進行してしまう恐れがあります。
  • 暗所で閉眼安静
  • 濡らした手ぬぐいなどを目に当てて冷やす
    • 炎症を起こしているので冷却は有効です
  • 人工涙液の点眼
    • 市販の人工涙液点眼でかまいません。持っていたら30分おきに頻繁に点眼しましょう。
      ❌️メントール系は避けてください。損傷した角膜刺激して逆効果です。
    • 防腐剤フリーの個包装タイプがオススメ
  • 鎮痛剤の服用
  • 抗菌点眼やNSAIDs点眼(携行していれば)
    • 感染予防の抗菌点眼や痛みを抑えるためのNSAIDs点眼も推奨されていますが、処方薬なので通常は持っていないと思います。
  • 眼帯は禁忌
    暗所で閉眼安静のかわりに「眼帯でもいいじゃないか」と思いがちですが、「眼帯は禁忌」です
    複数の臨床研究により治癒を遅らせ、疼痛軽減効果がなく、機能障害を引き起こすことが示されています。

Paterson R, et al. Wilderness Environ Med. 2024;35(1S):67S-77S.

STEP
翌朝の判断:「行動可能か」を冷静に評価

以下のチェック項目が1つでも不可なら「行動中止」をオススメします

STEP
行動継続/停滞/救助要請を判断

STEP3で行動可能と判断されても「症状が残っている」「安全な滞在地にいる」「時間と食料に余裕がある」のであれば「停滞」がベストです。
雪目は基本的には自然治癒しますので1日停滞して、眼を休めるだけでも十分な回復が期待できます。

逆に以下のような状況であれば、早めの救助要請が望ましいと考えます。

  • 羞明で目が開けられない
  • 単独行もしくは同行者も全員同じ症状
  • 安全に滞在できない
  • 食料・燃料が持たない

受診すべき5つのサイン

雪目であれば多くは自然治癒しますが、「全てほっとけば治る」というわけではありません。
次のサインがあれば、眼科を受診してください。

  • ⚠️ 48時間経っても症状が改善しない
  • ⚠️ 視力低下・視野欠損・強い頭痛を伴う
  • ⚠️ 目に外傷の心当たりがある/コンタクトレンズを装用したままだった
  • ⚠️ 片眼だけに強い症状
  • ⚠️ 目やに(黄色〜緑色)が増えている発熱がある:感染合併の可能性

上記は雪目以外の疾患も考えられますし、雪目だとしても眼科では治療として人工涙液・抗生物質眼軟膏・抗炎症薬・調節麻痺薬・鎮痛薬などが処方してもらえます。

繰り返す雪目は「翼状片・白内障」の将来リスクに累積

まあ1〜2日で治るし、そんなに怖い病気じゃないでしょ?

その考えは実はけっこう危険です

紫外線による角膜障害、すなわち”雪目”を繰り返すことで翼状片・白内障のリスクが上昇することが指摘されています。

  • 翼状片
    眼球結膜(白目)が翼状に角膜(黒目)に侵入する線維性の増殖組織で、瞳孔近くまで進展すると視力障害をきたします。農業、漁業従事者など戸外での活動時間が長い人に多発しています。
    • 治療は外科的な切除:2 〜 7%の人は再発し再手術が必要になります。
  • 皮質性白内障
    白内障は眼科疾患の中で最も多い病気のひとつ。
    紫外線との関係が知られており、水晶体が濁るため、網膜まで光が届かなくなり見え方の質が低下してきます。初期には水晶体が硬くなるため老眼が進行し、濁りが強くなると視力が低下し、進行すると失明に至ります。
    • 治療は混濁した水晶体を眼内レンズと置換する手術などが行われます。

雪目は1回1回は軼症で終わったとしても、UVダメージは角膜・水晶体に少しずつ蓄積していきます。
長期間の紫外線暴露により、慢性的な眼疾患につながるリスクが高まるので、登山のたびに毎回ちゃんと予防するという姿勢が大事になります。

まとめ ── 雪目から目を守る3つの行動

まとめです!

  • 【予防】サングラスは「サイドシールド付き」「UVカット率99%以上」「可視光透過率5〜15%」がお勧め
  • 【雪目になってしまったら…】暗所安静+冷却+人工涙液。多くは24〜48時間で軽快します。
  • 【雪目に対するNG行為】
    • 目を擦る
    • 眼帯で保護
    • コンタクト装用継続

サングラスは持っていたけど、今日は曇ってたから…

残雪期は雪面からの散乱標高による紫外線量増加のため紫外線角膜炎(雪目)が発生しやすい時期になります。
強い日差しが注がない高曇りの日でも、雲の中で散乱するため実は晴天時よりも紫外線量が多いことも少なくありません。

特に樹林帯を超えて稜線に立つときは、ぜひUVカット率99%以上+サイドシールド付きサングラスを装着して、おしゃれに気持ちよく登山を楽しんでください!
正しく備えていれば、雪目はほぼ100%防げる病気です。

以上です。最後まで閲覧いただきありがとうございました!


  • 本記事は医療情報の提供を目的としており、個別の医療行為を推奨するものではありません。実際の症状や治療については、必ず医師・医療機関にご相談ください。
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