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はじめに ── 日帰りでも一夜を凌げる備えを
こんにちは!市川です!
今日のテーマはこちら👇
「山で凌ぐためのビバークの医学」です!
僕の自己紹介はコチラ

循環器内科医としての病院勤務の傍らで、国際山岳医(DiMM)として以下のような活動をしています。
✔️登山者検診/登山者外来による予防・登山サポート
✔️赤岳鉱泉山岳診療所を運営(日本で唯一冬季診療も行っている診療所)
さらに「医療から登山をもっと安全に」をミッションとしてブログを通じて登山における医学的内容を発信しています。
2026年5月末〜Tozan Medical Officeを立ち上げました。
「山岳医療を、相談できる距離に。」
まずはTozan Medical Consulting〜登山×医療相談〜という名の登山者に対する個別のオンライン面談を開始しています。興味がある方はぜひこちらのリンクから詳細をご覧ください😊
秋の日帰り登山。
下山中に足をひねり、一歩ずつしか進めない。
時計を見ると、日没が近づいている……。
身体は疲労し、冷える一方…。
山では救助要請をできても、救助隊が来てくれるまでに早くても数時間。
けがや道迷いをきっかけに、運動ができなくなることで一気に熱産生<熱放散となり、体温が失われることがあります。
長野県警も、秋山の日帰り登山にヘッドライトやビバーク用品、非常食を携行するよう呼びかけています。

日帰りの予定でも、山で夜を過ごす装備が必要なんですね。
この記事では、予定外に山中で夜を過ごすことを「ビバーク」として、救助を待つ間の保温、補給を医学的に解説します!
前回の「バテ」の記事では、状態を確認し、進む・戻る・泊まるを判断する流れを紹介しました。
今回は、その先の「救助を待つとき、どうすればいいのか」を具体化します👇


- 救助要請と並行して、隔離(風雨を避ける)と保温を行う。
- 隔離=シェルターで風雨から守る+地面からの断熱
- 濡れてしまった衣服はどうすべきか?
- エネルギー補給の役割
なぜ必要なのか、どういうシーンで効果があるのかを理解することで装備も洗練されます。
持っているだけの状態から、普段から積極的に使用して、使えるビバーク装備へ!
結論!日帰り登山でも必携のビバーク装備


山では救助要請してから助けが着くまでには、早くても数時間、場合によっては翌朝以降になることも珍しくありません。
したがって、日帰り予定でも、風雨の山中でも体温を落とさずに一晩は凌げるだけの装備が必要です。
ビバークの基本は、低体温症対策+照明・通信手段の確保です。
人は体温を維持して、水分さえ摂っていれば数日間は生きられます。
そして、低体温症対策の基本は、以下の4つです。
- 隔離(風雨を遮る+地面からの断熱)
- 保温
- 加温
- 水分+エネルギー補給
これらを山中でどう確保するかを考えてビバーク装備を選定しましょう!
最初に僕が日帰り登山でもザックに必ず入れているビバーク装備をご紹介します!
ビバーク装備は、5つの役割=「低体温症対策4つ+照明・通信手段」に分けて考えると整理できます。


| 役割 | 僕が持っている物 | 何のために |
|---|---|---|
| ①隔離 | DKシェルター M もしくは、 ウルトラライトサバイバルシェルター2 ※人数で使い分けます | ✔風と濡れは体温を奪う最大の要因。 ✔広げてかぶるだけで隔離ができる。 ✔風雨の中では何をするにも、まずはこれを被るのが起点になる。 |
| ②保温 | 防寒着(寒い季節ならニット帽も) レインウェア エマージェンシーブランケット | ✔断熱層と防水・防風層を作って、熱を逃がさない。 ✔エマージェンシーブランケットの使い方は後述。 |
| ③加温 | 軽量火器(SOTOウインドマスターまたはJETBOILスタッシュ) もしくは サーモス山専用ボトル | ✔温かい飲み物は精神安定剤になります。ビバークではメンタル大事です。 ✔お湯は手持ちの水ボトルに移して簡易湯たんぽにもできます! |
| ④エネルギー補給 | 井村屋スポーツようかん アミノショット パーフェクトエネルギー | ✔カロリーを補給して熱を産生する。 ✔👈️バテた状態でも食べやすい! |
| ⑤照明と通信 | ヘッドライトと予備電池 スマートフォン モバイルバッテリー | ✔闇夜に明かりがあるだけで安心感↑ ✔日中であってもライトを使えば、ヘリから発見されやすくなる ✔現在地・情報収集・連絡手段の確保 |



町中であれば命を失うはずもない捻挫など軽い怪我が、ビバーク装備がないことで命に関わる事態になりかねません。
日帰りであっても、山中で一晩凌げる装備は必須です。
隔離:風雨を遮る
上記のビバーク装備の中でも最も重要なのはシェルターです。
百聞は一見にしかず。騙されたと思って購入して使ってみてください😊
DKシェルター Mは公式では3〜8人用、約460g。
ウルトラライトサバイバルシェルター2は公式では2人用・180gと非常に軽量。
同行者が多いときはDKシェルター M、単独のときはウルトラライトサバイバルシェルター2を持っています。
どちらもポールを立てずに広げてかぶる形式で、ツェルトよりも簡便にさっと風雨から守れる環境を作れるため、非常に便利です。
ビバークに追い込まれる状況を想像してみましょう。
- ケガをしている
- 体調不良・疲労困憊
- 激しい風雨
ツェルトをしっかり張るような余裕はありません。
僕がこれらを選ぶ理由は「余力がないときでも、さっと被るだけで使える」です。
\ わずか180g❗️休憩でも大活躍! /



シェルターを被ろうとした瞬間に風で飛ばされることがあります。
細引きをつけて手首などに巻き付けてから広げるようにしましょう。
僕のビバーク装備:リンク一覧
\ 最軽量級バーナーなのに風にも寒さにも強い❗️ /
\ コッヘル含めて200g!一瞬でお湯が沸きます /
\ 容量は500、700、900mlの3種類 /
\ 1本116kcal ❗️片手で簡単に食べられます/
\ 1個109kcal、バテてる時でもスッと補給 /
\ 僕の愛用ヘッドライト /
\ 厚さわずか8.9mm!接触充電が山では便利 /
雨でスマホの端子部分が濡れると充電できなくなります。
☝️Anker Nano Power BankはQi2対応で接触充電できるため、スマホが濡れていても充電できて心強いです😊
最初に考えるのは、現在地が安全かどうか
体調不良、ケガ、道迷い…
登山中にはいろいろな不具合で登山行動を続けるのが難しくなることがあります。
その際にはまずは現在地の安全を確認しましょう。
落石や滑落のおそれがある場所では安心して評価・待機ができません。
まず周囲の危険を評価して、必要があれば安定した場所に移動してから、身体の状態を確かめます。


バテの記事と同じく、一次評価では意識と会話、手首の脈、冷や汗・顔色、呼吸を確認します。
ケガが原因の場合には、一次評価として、脊椎損傷の可能性と大出血の有無も評価する必要があります。
脊髄損傷の可能性は、外傷の状況で判断しましょう。
その場で転倒しただけで背中の痛みがなければ脊髄損傷の可能性は極めて低いですし、10m以上滑落したという状況であれば脊髄損傷の可能性があると考えた方が無難です。
脊髄損傷の評価についてはかなり専門性が高いので、今回はここまでにしておきます。
詳細な内容は要望が多ければ、いずれ記事にするかもしれません。
大出血に関してはすぐに止血が必要です。
止血の基本は直接圧迫止血になります。詳細は以下の記事をご参照ください。


一次評価で大きな異常がなければ、二次評価として、全身の評価を行います。
けが、濡れ、冷え、補給状況などをもう少し詳しく確認します。
これらの結果と現在時刻、残りの行程などを考慮して、自力下山が厳しそうということであれば、救助要請ならびにビバーク体制の準備になります。
救助要請で大切なこと ── 状態と場所を確認する


救助要請では何を伝える? ── まず「山岳遭難」と「現在地」
救助が必要だと判断したら、警察110番・消防119番へ連絡します。
山岳救助の主体が警察なのか消防なのかは山域によって異なりますが、どちらへ通報しても、地域や事案に応じて、警察・消防が連携して救助活動を行います。
大切なことは、まず「山岳遭難であること」と「現在地」を伝えます。


山中では通話が途中で切れる可能性もあるため、最も重要なのは”現在地を伝える”ことです。
GPS座標と地図上の位置(山名・登山道の目印)を手元に用意してください。
ヤマレコでは登山中にはGPS情報が簡単に見られるように工夫されています。
「山岳遭難」と「現在地」の2点だけでも伝われば、救助活動を始めるための重要な手掛かりになります。
逆に他の詳細情報をたくさん伝えても「現在地」が伝わらなければ、救助に来てもらえません。



ヤマレコやGoogle MAPを使えば現在地のGPS座標(緯度・経度)は簡単に出すことができます。
事前に練習して、すぐに現在地のGPS座標を言えるようにしておきましょう。
続いて、傷病者の状態、人数、持っている装備、天候、携帯電話の電池残量などを伝えます。
待機場所や状態が変わった場合も、通報先へ知らせましょう。
Wilderness Medical Associates(WMA International)のRadio SOAPという概念を参考にすると、情報伝達の優先順位を次の4段階に整理できます。
指令員から質問されたときは、その質問を優先してください。
| 順番 | 伝える内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1. 場所・現場 | 山岳遭難であること、GPS座標・山名・登山道の目印 | 「山岳遭難です。○○山の○○登山道、GPSは北緯○○・東経○○です。」 |
| 2. 計画・要請 | 救助を要請すること、今している対応、現場で待機できるか。 | 「救助をお願いします。ツェルトの中で保温し、同行者2人で待機します」 |
| 3. 傷病者・問題リスト | 年齢・性別が分かれば伝え、受傷・発症時刻と経過、意識・呼吸・出血などの状態、行った処置を伝える。 | 「要救助者は1名。46歳男性。下山中に右足首をひねり、歩けません。会話はでき、固定して保温中です。」 |
| 4. 追加情報 | 天候・風・視界、上空の開け方、同行者数、端末の電池残量・予備電源、通報者の連絡先などを伝える。 | 「雨と強風で視界は悪く、電池は30%、予備電源があります」 |
通報の最初の一言の例
「山岳遭難です。○○山の○○登山道、GPSは北緯○○・東経○○です。要救助者は1人、下山中に右足首をひねって歩けません。その他1名、計2名でツェルトで保温して待機しています。携帯の電池は○%、予備電源はあります」
電波や電池に余裕がなければ、位置、人数、直ちに対応が必要な状態、折り返しに使う電話の状況を先に伝えます。
長く一方的に話し続けず、位置と緊急度を伝えた後は指令員の質問に答えましょう。
ヘリコプターは、時刻、天候、地形などの条件によって飛べないことがあります。
夜間でも地上から救助が行われる場合がありますし、仮に夜間救助に入らない場合でも夜のうちに翌朝からの救助計画が立てられます。「もう夜だから」と通報を見送る必要はありません。
!
【GPSログアプリのメリット】
- 道迷いリスクの低減
- 遭難時の現在地の同定と遭難地点までの行動履歴
YAMAPやヤマレコなどのサービスを利用している方は大勢いらっしゃると思います。
現在地が一目でわかるし、ルートを外れると音声案内までしてくれる。
まさにカーナビの登山版といったツールです。
遭難者に占める道迷いの割合は下がり続けており(令和2年44%➜令和7年31%)、GPSアプリの普及が大きく影響していると考えられます。
一方で、昔ながらの山ヤは紙地図による読図を優先して、GPSアプリを使うことに抵抗を感じている方もいらっしゃいます。
しかし、GPSアプリを使うことの意義は「現在地の把握」だけではありません。
“GPSログを残しながら登山をすることは現代登山のマナー”と言っても過言ではないです。
遭難した場合には、必ず警察はGPSログアプリのユーザーかどうかを確認し、ユーザーであれば、各社に問い合わせて遭難までのGPSログを調べた上で救助計画を立てます。
ヤマレコに関しては、SAGASUというサービスで主要な救助組織と協定を結んでおり、長野県警・静岡県警・山梨県警などは救助通報があると、SAGASUを使用することでヤマレコに照会することなく、ヤマレコユーザーのGPS履歴や山行計画・過去の登山記録を閲覧することができるようになっています。
仮に遭難地点の電波がなくてGPS情報が途絶えていたとしても、途絶える直前の時間・そこまでの行程が残っていることから、GPSログ情報がない状態と比較すれば、遭難地点をかなり限定することができます。
「地図読みが得意だからGPSアプリなんて必要ない」ということは一切ありません。
山では誰でも遭難するリスクがあります。その際にGPSログを残していれば、仮に本人が通信できなくても救助組織がGPSログ情報にアクセスできる可能性があります。
GPSログアプリを使用してない方は、是非、次の登山から使用するようにしてください!
\ 遭難者情報照会システム /
寒い・濡れている ── 隔離・保温・加温・エネルギー補給
寒冷環境からの隔離:風雨を避け、地面からの断熱を意識する


隔離とは、周囲の環境と自分の体を隔離すること。
具体的には、以下の3つです。
- 山小屋に逃げ込む
- ツェルトやシェルターを頭から被る
- 地面からの断熱を行う
詳細は以下の記事を参照してください。


山小屋に逃げ込めれば、そもそも苦労はないので、今回のケースでは②③を行いましょう。
まずは風雨からの隔離=ツェルトなどのシェルターを被りましょう。
教科書のようにツェルトを張る必要はありません。もちろん余裕があれば張ったほうが快適ですが、そんな余裕はないことのほうが多く、被って足元から風が入らないように巻き込むだけでも効果的です。
ツェルトよりも、DKシェルターやウルトラライトサバイバルシェルター2のほうが被りやすくできてるためオススメです。
風雨からの隔離ができれば、次は地面からの隔離です。
疲れて動けなくなると、その場に座り込みたくなります。
しかし、冷たい地面に直接座ると、体の熱が地面へ伝導してしまい、体温を奪われます。
体の下にマットなどを敷きましょう。
日帰り登山でマットを持っていることは稀なので、マットがなければザックを地面に敷いてその上に座るようにしましょう。背面パッド側に座れば断熱効果も高く、お尻も快適です。


4つの熱移動経路を抑えよう:どうやって保温するか?


隔離・保温をするためには、伝導、輻射、対流、蒸発(気化)といった4つの熱移動経路を理解してレイアリングする必要があります。
詳細は過去記事を読んでいただきたいですが、ここでは簡単に解説します。
- 伝導:前述の通り地面からの熱伝導を遮断しましょう
- 輻射:身体からの放射熱を内に留めるために、エマージェンシーシートをできるだけ体幹に近い位置に巻き、その上からダウンなどのインサレーションを着ましょう。エマージェンシーシートは通気性が全くないので、VBL効果+その外側のダウンなどの保温層を濡らさない効果も期待できます。
- 対流:最外層にはレインウェアを羽織ることで、風による対流を防ぎます。ツェルトなどのシェルターを被るのも対流を防ぐためですね。
- 蒸発(気化):蒸発する際の気化熱によって体温を奪われます。詳細は次の章で。
濡れた服をどうする?


- 乾いた衣服に着替えられるならそれがベスト
- できないなら濡れたままエマージェンシーシートで体幹部を包む
汗や雨でベースレイヤーが濡れていて、乾いた着替えがあるのであれば、風雨から隔離されたシェルターの中で着替えましょう。



でも、日帰り登山で着替えなんて持ってないよ。
濡れた服を着ているとなぜ体温を奪われるのか?
メインの熱移動経路は“蒸発(気化)”です。
衣服、特に体幹部が濡れているところに、風などの“対流”の力も加わり、蒸発する際の気化熱によって体温を奪われます。
※厳密には伝導によっても体温が濡れた衣服に奪われますが、重量差(体重と水分の重さ)を考えると伝導による熱損失は許容できます。
シェルターで対流はある程度防げています。
あとは蒸発を防げば、濡れたままでも体温低下を防ぐことができます。
これを利用しているのがVBLですね。
- 雨や汗で濡れてしまったベースレイヤーはできるだけ絞るなどして水分を減らしてから再度着用します。
- その上に通気性ゼロのエマージェンシーシートで体幹部を包みましょう。
こうすることで体幹部からの蒸発を防ぐことができます。
さらにその上からダウンなどの防寒着を着れば、衣服の濡れでダウンが濡れることも防げます。
さらに最外層にレインウェアを着用することで体幹部分の対流&蒸発(気化)はほぼ防げますので、体温を保持することができます。
ダウンの下の体幹部に湯たんぽを入れられれば、さらに温かいですね。
濡れた衣服を着たままでも防湿層(VBL)があれば皮膚温は保たれる
対象:健康な16名のボランティア
方法:濡れた衣服を着用した状態で雪洞内で30分間身体を冷却
➜VBLあり+加温源、VBLなし+加温源の2つの条件で皮膚温度の変化を比較
【結果】
衣服が濡れた状態であってもVBL(水蒸気を通しにくい層)を加えた方が皮膚温度が高く保たれた。
深部体温の温度は2群間で差はなかった。
Mydske S, et al. Scand J Trauma Resusc Emerg Med. 2024;32:35. PMID:38664809.
VBLって何?という方は以下の記事を参照してください。


加温:加温できるなら体幹部を温めよう
加温とは、自分以外の熱源を与えることです。
温める場所は体幹部。「心臓を温める」と覚えましょう。
サーモスに入ったお湯やバーナーなどの火器があれば、ぜひ即席湯たんぽを作りましょう。
僕が即席湯たんぽ用に勧めているのは、プラティパスです。
過去の記事でも、プラティパスにお湯を入れ、タオルや手ぬぐいで包む方法を紹介しています。
ナルゲンボトルのようなものでもいいのですが、プラティパスのような柔らかい容器の方が体幹部との接地面積が多くなるため、より有効です。
さらに、パンパンにお湯を入れるのではなく、ある程度ゆとりがある量にした方が接地面積が増えますので、オススメです。
エネルギー補給 ── 体内からの熱産生の要
寒いと体が震えるのは、筋肉を動かして熱を作っているためです。
ビバークでじっとしていても、体温を維持するためにはエネルギーを使います。
エネルギー補給が熱産生の要であり、低体温症予防の要になります。
さらに、寒冷環境では早期から糖質を摂取した方が、筋グリコーゲンが温存できるとされています。
筋グリコーゲンとは体内に貯金してある糖質のことで、量に限りがあるため長時間運動やビバークのように長時間の震えでは枯渇してしまう可能性があります。
ビバークは乗り切ればそれで終わりではありません。
救助に来てもらった後でも、自力で動けるのであれば歩いて下山する必要がありますので、筋グリコーゲンを温存しておくことは重要になります。
寒冷環境下では早期から糖質を摂ったほうが筋グリコーゲンが温存できる
健康な男性6人を対象とした寒冷実験
- G0群:寒冷曝露の開始と同時にブドウ糖を飲み始める(合計120g/150分)
- G60群:開始60分後(=ふるえが最大になる頃)から飲み始める(合計80g/90分)
上記2群にわけて寒冷環境に150分間暴露した。
【結果】
- G0群の外因性ブドウ糖の燃焼は231 mg/分まで上昇し、総産熱の約27%を賄った(G60群は17.9%)
➜筋グリコーゲンが温存できた
【結論】
寒冷曝露が始まったら早期から糖質を摂取し、その後もできるだけ継続することが望ましい。
その理由は「糖質を摂れば、体温が上がるから」ではなく、ふるえによる熱産生の燃料として外因性グルコースを利用し、限られた肝・筋グリコーゲンを温存できるから。
Blondin DP, Péronnet F, Haman F. J Appl Physiol. 2010;109:654–662. PMID:20651221.



赤岳鉱泉山岳診療所では、冬季に悪天候で視力が低下し、行動不能となり、ツェルトを被って中で行動食を食べたことで、視力が回復した事例を複数経験しています。
証拠はありませんが、僕はカロリー摂取により低体温が改善したことも視力回復の一因だと考えています。
低体温症による視力障害については、過去の記事も参考にしてください。


まとめ ── ビバーク装備を普段から使おう
まとめです!
今回、覚えておきたいのは次の1つです👇
- 日帰り登山であっても、ビバーク装備を必ず持つ!
ビバーク装備の基本は5つの項目を満たすように備える- 隔離:風雨・地面からの寒さをしのぐ➜シェルター、ザックで地面から断熱
- 保温:防寒着、エマージェンシーシート
- 加温:軽量火器、サーモスなどの保温ボトル
- エネルギー補給:簡便にカロリー補給ができる非常食
- 照明と通信:ヘッドライト、スマホ、モバイルバッテリー
僕のオススメビバーク用品はこちら!
登山前には、ビバーク装備を揃えるのはもちろんのこと、一度、必ず試してみてください。
疲労やケガ・悪天候など追い込まれたときなど…余裕がないときに行うのがビバークです。
ビバークは、事前に練習しておくのが大切です。
また、普段の登山でも休憩中などに積極的にビバーク装備を使用してみましょう。
快適に休憩できて、出費も無駄にもならず練習にもなるのでオススメです😊
気軽に向かった日帰り登山でも、捻挫や道迷い・悪天候などで予定が変わることがあります。
街中ならすぐ助けを得られるような場面も、山では寒さと待ち時間が重なることで、命に関わります。
どんなに気軽な登山であっても、最低限のビバーク装備は使えるように備えて登山を楽しみましょう。
最後まで閲覧いただきありがとうございました!
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。
山中でけがや体調の悪化がある場合は、警察・消防へ救助を要請し、指令員・救助隊の指示に従ってください。



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